ライブレポート

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『THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019』DAY1


10月5日(土)朝、桜島は雲ひとつない快晴! 10月にも関わらず、夏が戻ってきたような絶好のヘス日和に恵まれたこの日。今年で2年目の開催となる「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL2019(以下、GSH)」初日が幕を開けようとしていた。

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今年から会場にキャンプサイトが設置され、4日(金)夜にはコウメ太夫ほか多数のお笑い芸人に加えて、DJダイノジも出演した、前夜祭と言える「for CAMPER in 与論ステージ」も開催。

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すでに「GSH」を堪能している観客も多くいる中、初日から参加する観客は早朝から長い列を作り、鹿児島湾から桜島フェリーへと乗車。だんだんと近づいてくる桜島に最高の一日を想像し、期待に胸を膨らませていると、わずか15分の短い航路を経て会場へと到着。御岳の麓にステージが設置された絶景を前に、今や遅しと開演を待つ。Welcome ActとなるArt Buildingのステージが9時20分スタートと、なかなか狂ったタイムテーブルながら、フィールドにはすでにたくさんの観客がスタンバイ。昨年にも勝るとも劣らない豪華出演陣による、2日間に渡る夢の宴がついに幕を開ける!

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初日のWelcome Actを務めたのは、鹿児島の有志が開催する地元フェス「WALK INN FES!」の推薦アーティストである、鹿児島出身の若きロック志士、Art Building。鹿児島人の誇りである桜島の大舞台で、自然のエネルギーを受け止めるようにゆっくり壮大に始まった「六月」でステージの幕を開けると、鍵盤の音色が印象的なギターロック・サウンドに乗せた、前田晃希(Vo/Gt)の伸びやかな歌声が桜島に響く。この瞬間を噛みしめるように一曲一曲を丁寧に力強く演奏すると、「この曲に伝えたいことを込めて帰ります」と歌った、バラード曲「東京の羊」で観客の心を揺さぶり、Welcome Actの役割を果たした。

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開演時間の10時を迎え、オープニングVTRから薩摩ステージに登場した、ヘスの発起人の一人であるタブゾンビ開会挨拶で本格的に幕を開けた「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL 2019」。

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特攻隊長を務めたのは、長崎発のスリーピースバンド、SHANK。薩摩ステージに勢いよく登場すると、痛快にツービートを鳴らす「Surface」でフィールドの熱を上げ、その勢いをグングンと加速させて前半戦を駆け抜ける。「出れて嬉しい! 一番奥の人までピースフルに行きましょう!」と庵原将平(Vo/Ba)が笑うと、3人組ならではの軽快さと疾走感ある歌と演奏、緩急付けたセットリストでフィールドにモッシュやサーフの波を起こし、ヘスの幕開けを高らかに宣言した。

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MCナシを宣言すると「MEGA SHAKE IT!」「ビビった」「推しのいる生活」とキラーチューンを畳み込み、短い持ち時間を沸かし続けたのは、大隅ステージのトップバッター、キュウソネコカミ。全力の歌と演奏、そして絶妙な煽りで拳を突き上げて合唱するオーディエンスとぶつかり合うステージからは、全国のフェスをブチアゲてきた猛者の貫禄を感じた。「DQNなりたい、40代で死にたい」ではヤマサキ セイヤ(Vo/Gt)がフィールドに降りると、オーディエンスの頭上で「お前ら出来たての溶岩か! ゆるゆるやんか!」と足元を気にしながら、「ヤンキーこわい」のコール&レスポンス。ラストはバンドマンの悲哀を歌う「The band」で強い印象を残し、その存在を観客の心に刻んだ。

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地元ファンの歓迎ムードの中、薩摩ステージに登場。「Ahead Ahead」で静かに力強く始まったのは、鹿児島出身のスリーピースバンド、雨のパレード。「ただいま! 明るいけど踊ろうぜ」と挨拶すると、「Count me out」の4つ打ちビートとクールなサウンドでフィールドを揺らす。MCで出身校の話や学生時代のバイト先の話など地元トークで沸かせると、「兄のように慕ってます」と語るタブゾンビを迎え、夏みたいなこの日の陽気にぴったりな「Summer Time Magic」で魔法をかけて、会場を多幸感に包む。地元だからこそのリラックスした雰囲気と、地元だからこその誇り高き歌と演奏。どちらもを兼ね備えたステージはヘスならではだろう。

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「27」、「閃光」でライブが始まると、たくましく強靭な演奏に乗せた、渋谷龍太(Vo/Gt)の真っ直ぐな歌と言葉で、オーディエンスの心をがっちり掴んだSUPER BEAVER。強烈な求心力で、ライブが進むほど大隅ステージ前に人が集まり、会場が一体感を増していく。「ここにいる人たちは一方的に音楽を通じた仲間だと思ってる。仲間の前では思い切りカッコつけると決めてます」と語り、最高にカッコいいステージングを見せてくれた渋谷。「声を聴かせて!」と煽りまくった「予感」にオーディエンスの大合唱が起き、「今日のハイライトを作りませんか?」と始まった「青い春」に会場中が手拍子を合わせ、ハイライトをしっかり作り上げた。

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大きな歓声に迎えられて薩摩ステージに登場すると、「もし君を許せたら」のピアノに乗せた切なく美しい歌声で会場の空気を一変。伸びやかな歌声と凛としたステージングでオーディエンスを魅了したのは、福岡出身のシンガー・ソングライター、家入レオ。「僕たちの未来」では「大きな声を聞かせて!」の煽りに合唱が起き、「Overflow」では全身を使ったパフォーマンスを魅せ、イントロに大きな歓声が上がった「サブリナ」ではフィールド中から拳が上がり、会場がひとつになる。「やばい、めっちゃ楽しい! みんなも同じ気持ち?」と観客に尋ねると、「音楽でひとつになれた、ありがとう」と嬉しそうな表情を見せた彼女。ラストはアコギを背負って「君がくれた夏」を気持ちいっぱい歌い上げた。

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フルカワユタカ(Gt)& DAZE(Dr)の豪華メンバーと共に大隅ステージに登場したのは、「GSH」初登場となるLOW IQ 01&THE RHYTHM MAKERS。「あ、ば、れ、ろ!」と叫び、「Little Giant」で勢いよくライブが始まると、踊るようなベースにパワフルで男の色気あるボーカル、息の合った演奏にオーディエンスは大熱狂。初めての鹿児島への挨拶代わりに、新旧織り交ぜた盛り上がり必死のセットリストで臨み、ファンのみならず、初めて観るであろう人も夢中にさせた。ラストは「鹿児島、初めてだけど最高だね。夏、まだ終わっちゃねぇよ!」と、「MAKIN' MAGIC」で強い日が照りつける会場をさらに熱くした。

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昨年に続く出演となる04 Limited Sazabysは、会場を溢れる観客に迎えられて薩摩ステージに登場すると「帰って来ました!」と挨拶。「swim」で勢いよくライブをスタートすると、「My HERO」「Kitchen」と前のめりなほどアグレッシブなステージが続き、フィールドを掻き回す。「ここに来たくて、タブさんに直談判しました」と笑顔を見せるGEN(Vo/Ba)。「夏終わったと思ってたけど、延長線いただきま~す!」と、本当に楽しそうに演奏する姿は見ているこっちも楽しくなる。ラストは今年最後の夏の日を惜しむように、ライブ定番曲である「Squall」「monolith」を投入し、最高潮の盛り上がりを生んだ。

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SEが鳴り、7人が颯爽と大隅ステージに登場。「Standing in the Rain」で、軽やかに賑やかにライブをスタートしたKEMURI。タイトで痛快なビートと切れ味鋭いギターカッティング、青空に響くホーンが生み出す極上のスカパンク・サウンドにオーディエンスが踊り倒す。「I Am Proud」「白いばら」と人気曲が続き、フィールドに溢れる笑顔を見て、「みんなの表情とこの風景忘れません!」と喜びを語る伊藤ふみお(Vo)。彼の歌とバンドの想いはオーディエンスに真っ直ぐダイレクトに響き、「Positive Mental Attitude」で明るく前向きな空気が溢れる中、「Ato-Ichinen」で会場中が声を重ねて、さらなる盛り上がりを見せた。

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スカ・パンクの大先輩からバトンを受け、薩摩ステージに登場したのはHEY-SMITH。高らかにホーンを鳴らして「Endless Sorrow」でライブが始まると、猪狩秀平(Gt/Vo)の「ぶっ飛べ~!」の声を合図に、フィールドにモッシュの波が起きる。疾走感ある楽曲たちが矢継ぎ早に演奏されると、猪狩とYUJI(Ba/Vo)のツインボーカルが勢いに拍車をかけ、ホーン隊が明るく激しくスリリングにサウンドを彩る。オーディエンスの歌声にマイクを向けた「Don't Worry My Friend」、「この夏、何回歌ったか分からないけど、野外で歌うのは最後かも」と披露した「Summer Breeze」と続き、観客とともに最高の夏の思い出を作った。

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大隅ステージに軽やかに登場するや、「I'M GETTIN' BLUE」で始まる、出し惜しみナシのステージで沸かせたZIGGY。ヘヴィかつテクニカルな演奏と森重樹一(Vo)の圧倒的な歌と声量に、初めて観る若い人は驚愕。昔から知る人は大興奮! 「TEENAGE LUST」など最新型のZIGGY楽曲も投入し、若い頃よりも激しさを増してる感さえある、現在進行系の現役バリバリ感を知らしめると、バラード曲「6月はRAINY BLUES」ではヴィブラートを効かせた、森重の切なく美しい歌声に大きな拍手が起きる。会場中が口ずさみ、拳を握った、彼らの代表曲「GLORIA」は感涙ものだった。

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ライブ前からフィールドにどんどん人が集まり、溢れかえる観客の大きな期待を受けて、薩摩ステージに登場したMONGOL800。サポートギターの猪狩秀平(HEY-SMITH)にホーン隊も加えたスペシャル編成で挑んだこの日、上江洌清作(Vo,Ba)の「あ~そび~ましょ!」の声を合図に「PARTY」で派手やかにライブがスタート。1曲目からフィールドはお祭り騒ぎになり、3人で演奏した「あなたに」は大げさでなく全員が大合唱。ホーン隊とダンサー(地元の先輩らしい)を迎えての「OKINAWA CALLING」がお祭り騒ぎに拍車をかけ、会場が楽しくピースフルな空気に包まれる中、披露した曲は安室奈美恵「TRY ME ~私を信じて~」のカバー。そんな、ヘスならではのスペシャルな編成と内容で構成されたステージのクライマックスは、力強いギターリフとキヨサクの温かみある歌声で始まった「小さな恋のうた」。拳を上げて大合唱するオーディエンスの熱い歌声は、本当に感動的だった。

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ヘス発起人、タブゾンビの同級生であり、鹿児島出身の星グランマニエ(Gt)と白鳥松竹梅(Ba)の2人を擁する氣志團は、昨年に続く2度目の出演。東京スカパラダイスオーケストラのカバーであるインストナンバー「砂の丘」でGIGが始まると、中盤で早くも「One Night Carnival」を披露。会場は大盛り上がりだったが「古い」と訴えるメンバーと口論になり、DA PUMP「U.S.A.」や星野源「恋」をミックスした「One Night Carnival」の最新版を披露し、会場を大きく沸かす。全力でフザケた後は綾小路 翔(Vo)が地元である千葉の台風被害について真摯に語り、「スタンディング・房総」を力いっぱい披露。地元を思う彼らの熱い気持ちを受けとめた観客からは、千葉に力を送るべく温かい拍手が起きた。

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メンバーのKEENが鹿児島出身であるC&Kは、待望の「GSH」初出演。ド派手な金色のジャケット姿でダンサーと共に薩摩ステージに飛び出すと、「パーティー☆キング」「梅雨明け宣言」と極上のパーティーチューンを連発して、フィールドをダンスフロアに変える。かと思えば、切ないバラードソング「Y」、二人のハーモニーが美しい「愛を浴びて、僕がいる」で聴かせて聴き手の感情を揺さぶり、超満員のオーディエンスの心を完全掌握。ラストは、ももいろクローバーZへの提供曲でもある「クローバーとダイヤモンド」にももいろクローバーZがサプライズで出演。6人で楽しく歌い踊り、短い持ち時間にC&Kの魅力を凝縮したステージを賑やかに締めくくった。

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大隅ステージ、初日のトリとして登場したのは、発起人であるタブゾンビも所属するSOIL & "PIMP" SESSIONS。すっかり暗くなった会場に閃光が刺すような「閃く刃」で始まり、オーディエンスを自身の音楽世界へ導くと、自信と誇りに満ちたデスジャズ・サウンドでオーディエンスの心と体を躍らせる。心地よいグルーヴに体を揺らしたり、夜空に響くホーンの音色に浸ったり、掛け声を合わせたりと、彼らの音楽を自由に楽しむオーディエンスの姿を見て、ジャンルや決まりごとなど関係なく、極上の音楽をそれぞれのスタイルで楽しむ、この光景こそが、「GSH」でタブゾンビが作りたかったものだったのではないか? と想像した。ラスト、夏が戻って来たような暑く熱い1日を振り返りながら聴いた「SUMMER GODDESS」は実に美しかった。

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会場をペンライトが鮮やかに埋め尽くす中、SE「OVERTURE」と大歓声に迎えられて登場したのは初日の大トリを務める、ももいろクローバーZ。この日、バンドセットで登場した彼女ら。ド派手なイントロと重厚なバンド演奏に乗せた4人の歌声がショーの幕開けにピッタリな「ロードショー」でライブが始まると、「ザ・ゴールデン・ヒストリー」「サラバ、愛しき悲しみたちよ」と、ロックサウンドに映える4人のキュートでカッコいい歌と振り付けで観客を魅了。「行くぜっ! 怪盗少女 ZZ ver」で百田夏菜子がエビぞりジャンプを決めると「走れ! ZZ ver」を全力のパフォーマンスで走り抜け、ラストは氣志團から、鹿児島出身の星グランマニエと白鳥松竹梅を招いて、氣志團「喧嘩上等」のカバーを披露。ランマと松に楽器を置いたバンドメンバーも加えて、全員でマイクを回して歌い踊る。笑顔と歌声が溢れる、明るく楽しい初日のエンディングは、2日目への期待も大きく煽った。

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薩摩ステージと大隅ステージが全てのアクトを終えた後、与論ステージではCLOSING ACTとしてテスラは泣かない。のライブが行われ、余韻に浸る観客を心地よくお見送り。さらに22時からは、キャンプエリアで宿泊する観客に向けた「for CAMPER in 与論ステージ」が開催。

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YOSHIROTTEN、川辺ヒロシ、山岸竜之介のDJやライブ、ありがとう ぁみの怪談話など、盛りだくさんの内容で深夜までとことん楽しませる。やはりジャンルや決まりごとなど関係なく、それぞれのスタイルで楽しめるのが「THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL」の醍醐味なのだ。

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